株式会社アクセルスペース(本社:東京都中央区、代表取締役:中村友哉)は、下記3機関とともに、国立研究開発法人情報通信研究機構の委託研究「Beyond5G次世代小型衛星コンステレーション向け電波・光ハイブリッド通信技術の研究開発」について採択され、開発に着手したことをお知らせ致します。本事業では次世代小型通信衛星コンステレーション構築に向け、キーコンポーネントである光通信機、及び従来製品より高速なKa帯通信機の開発を行います。
共同研究開発機関
国立大学法人東京大学(所在:東京都文京区、総長:藤井輝夫)
国立大学法人東京工業大学(所在:東京都目黒区、学長:益一哉)
株式会社清原光学(本社:東京都板橋区、代表取締役社長:篠永浩彦)
近年、米国を中心に数百機から数千機の超小型衛星により構成される通信衛星コンステレーションの構築が官民で行われています。中でも、地球低軌道(LEO)で衛星間光通信を行うことによるネットワーク構築は次世代のキーテクノロジーとして注目されており、単に地上の通信インフラ未整備エリアを補完するだけでなく、従来通信サービスが十分に提供されていなかった空間(船舶、航空機、地球観測衛星など)への活用が期待されています。
しかし、現在の光通信機は数百kg級衛星を念頭に置いた高出力なものが多く、安価にコンステレーションを構築することに有力な100kg級衛星への搭載が難しいのが現状です。
本研究では、100kg級衛星でGbps級の衛星間通信及び地上との通信が可能な光通信機を開発します。本研究の光通信機を利用することにより、衛星間光通信機を搭載した100kg級衛星でのネットワーク構築が可能となります。加えて、光通信機は曇天時等の悪天候時には地上との通信として利用することができないため、それを補完するためのKa帯による高速なRF通信機の開発を合わせて行います。
本研究開発に携わる4社は以下のように話しています。
株式会社アクセルスペース 代表取締役 中村友哉
世界的に小型衛星コンステレーションが注目を集めています。中でも100kg級の衛星は低コストでありながら高い性能を実現できる実用的なサイズとして社会実装が進んでおり、日本としてこの分野で技術的な競争力を維持することは極めて重要です。アクセルスペースはこれまでの9機の小型衛星開発・運用経験を活かして本事業全体の取りまとめを行い、共同研究機関との協力の下、次世代のキー技術である電波・光ハイブリッド通信技術の獲得を確実なものとしていきます。
国立大学法人東京大学大学院工学系研究科 教授 中須賀真一
光通信は日本が世界に先駆けて軌道上実験に成功しましたが、ビジネス利用の観点では、海外に先を越されています。小型衛星コンステレーションが世界の大きな潮流になる中、それらの衛星への適用を想定し、低コストで小型の光送受信機の開発や光通信に適した衛星のシステム技術の確立を目指すことが大事です。東京大学は制御とシミュレーション技術の点で貢献しますが、このプロジェクトで、日本が光通信の実用とビジネスでも勝てる土台を作りたいと思います。
国立大学法人東京工業大学工学院 教授 岡田健一
Beyond 5Gや6G等の次世代無線ネットワーク技術では、衛星も含めた非地上系ネットワーク(NTN)の拡充が重要視されています。東京工業大学では、これまでに培ったミリ波帯無線通信機技術を用いて、衛星搭載用電波・光ハイブリッド無線通信技術を確立し、情報通信を基盤とする産業競争力の強化に努めたいと思います。
株式会社清原光学 代表取締役社長 篠永浩彦
本共同研究開発において、弊社は主に光通信機の光学系開発を担当します。長年にわたって様々な光学機器開発のノウハウを蓄積して来ておりますが、今回は宇宙望遠鏡や光衛星通信用光地上局光学系の開発で培った経験と実績を応用展開し、大きな成果を出したいと考えています。