2023年はアクセルスペース創業15周年の節目の年となります。そこで、未来に向けアクセルスペースをリードするメンバーのインタビュー記事の連載を開始しました。第5回はCFOの折𠩤 大吾です。国内外でCEOを含む幅広い経験を積んできた折𠩤がアクセルスペースへの参画を決意したのは、世界で勝てるポテンシャルを確信したからでした。
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プロフィール
折𠩤 大吾/CFO
三和銀行、通信機器メーカーでのプロダクトマネジメントを経て、UBS証券投資銀行本部において、M&A、資金調達等のFA業務に従事。その後、経営共創基盤において、事業戦略立案、ハンズオン経営支援、海外プロジェクト、国内外投資業務に携わる。その後、マッスルスーツ等を開発する大学発スタートアップ、イノフィスに参画しCFOとして資金調達、中期経営計画策定をリード。同社CEOを経て2023年にアクセルスペースに参画。University of Michigan, Ross School of Business(MBA)修了。現在、株式会社アクセルスペースホールディングス/株式会社アクセルスペース 取締役 CFO 兼 経営管理本部長
アクセルスペースの魅力
宇宙と無縁の折原がすべてを賭けた理由
アクセルスペースと出会うまで、宇宙とは全く縁のないキャリアを歩んでいました。 これまで様々な仕事の経験をしてきたなかでも、現在の仕事に続く道の始まりと感じるのは、留学時代の知り合いに誘われて社会人2年目に転職したことです。チャレンジを求めて「2年間で黒字化しなければ畳む」という前提付きのチームへジョインしたのです。2年弱の在籍後、グローバルに展開する商品を日本で販売するためのプロジェクトマネジメントチームに入りました。技術部門、マーケティング部門、営業部門等を束ねていくなかで、ある企業とのアライアンスを担当することになったのですが、より大きな挑戦をするために自分のスキルを大幅に高める必要があることに気付き、ビジネススクールに留学する決心をしました。帰国後は投資銀行でFA業務に従事し、買収や売却、資金調達などを経験しました。ダイナミックな仕事にやり甲斐を感じる一方で、クライアントの事業により深く関わるプロフェッショナルなサービスをしたいと考え、ハンズオン型のコンサルティング会社に 転職。 さらに、新興国のプロジェクトや海外のスタートアップとの関わりを通じて、自らスタートアップ事業に取り組み世界一を目指したいとの思いが募り、 モノづくりが好きだったこともあって、マッスルスーツを開発するスタートアップへ転職しました。同社のCEO就任後は、少子高齢化によって発生する社会課題の解決をテーマに、17の国と地域に進出し、販売網を世界に広げました。
アクセルスペースとは、私がちょうど次のチャレンジを求めはじめた時期に出会いました。当時の私にとって宇宙は未知の領域です。しかし、アクセルスペースのビジョンや事業について知るうちに、世界で勝てるポテンシャルがあることを確信しました。衛星システムはハードウエア、ソフトウエア、その他様々な技術の組み合わせで成り立っています。高度なノウハウが求められるこの手のモノづくりは日本の得意分野だと思ったのです。小型衛星に関する製造、運用の実績を活かし、アクセルスペースがつくり出そうとする未来像も魅力的でした。前職と同様に、「どうせやるなら世界一を目指したい」との思いから、自身の経験のすべてをアクセルスペースが描く未来の実現に活かすと決意しました。
アクセルスペースでのミッション
世界で勝負するために必要なこと
アクセルスペースで世界を目指すために、取り組まなければならないことが2つあります。
ひとつは組織の強化です。私は「会社の成長戦略が現場の実態を踏まえたものになっているか」と「現場がゴールを意識して課題を解決できているか」を常に重視しています。現場からトップまで全員のベクトルを合わせ、組織全体に神経を通わせることで、自律的に問題を解決できる組織をつくり、事業成長のスピードを上げたいのです。
2つ目は、顧客志向の強化です。世界で勝負して生き残れるのは、顧客に喜ばれる価値を提供し続けられる企業だけだからです。アクセルスペースは既に、価値の源泉となる開発技術の強みを持っています。これを顧客の目に見える形の価値に変換することが重要です。そのためには、社員全員が顧客目線での価値を理解し、また価値を生み出すための意思決定ができるよう働きかけたいと思っています。ビジネスニーズにより迅速に応えられる組織と事業づくりを通して、会社の高いポテンシャルをさらに大きな実績へつなげていきたいです。
今のチャレンジ
衛星の社会インフラ化に向けて、突破口を開く
宇宙産業はまだ黎明期の段階で、これから大きく発展します。数多くの素晴らしい衛星技術が生み出されているにも関わらず、現時点では広くビジネス利用が浸透しているとは言えません。専門性が高いために新規参入の敷居もまだ高い。現状を変えるには、「多くの企業に衛星を活用してもらうために何が必要なのか」を考え、宇宙や衛星に関心を持ってもらう働きかけが不可欠です。業界内外のプレーヤーたちとの対話から「技術と価値の接点」を探る取り組みは、新しいサービスやアプリケーションを生み出し、世の中をさらに便利なものに変えていくでしょう。
私たちは、こうした自社、顧客、社会の「三方よし」の活動を通じて、衛星をなくてはならない社会インフラのひとつにしたいと考えています。
思い描く未来・Vision
「My人工衛星」や「衛星の証券化」も夢ではない
企業の生き残りをかけた競争では、往々にして指一本程度の差が勝敗を分けます。まず経営陣が「奮闘の先に実現したいゴール」についての細部にわたる拘りを持ち、メンバーもそれを実現することが楽しいと思えることは、大きな力を発揮すると思います。 だからこそ、メンバーが共感できる未来像を示すことが経営陣の重要な役割のひとつだと認識しています。
私が思い描く夢は、衛星ビジネスをBtoBからBtoCへと広げることです。今は法人利用が中心の衛星ビジネスを、より開かれたものにすれば、将来的には個人向けの「My人工衛星」も実現可能だと思っています。「最近、衛星を買ったんだ」とか「自分が持っている衛星の名前は……」といった会話が交わされるくらいに身近になれば面白いですよね。
また衛星運用のビジネスが成長し、収益モデルが固まってくると、金融的な価値も生まれるかもしれません。何億円もする衛星を不動産などと同じ収益物件と捉えれば、証券化・リース化も考えられます。さらに、衛星の所有権を小口に分けてシェアしたり、衛星の命名権を販売したりと、可能性は色々あると思うのです。もしかしたら、アクセルスペースが金融企業に進化する日さえ、あり得るかもしれません。
今は冗談のように話していますが、これらも決して夢物語ではありません。メンバー全員がゴールと成長を意識して日々のアクションに臨めば、アクセルスペースの成長可能性はとてつもなく大きいと思います。アクセルスペースを世界で勝てる企業へ進化させ、業界を、そして社会をより良いものへ変革していきたいと思います。