ウェザーニューズ2機目の専用超小型衛星で世界の海氷や台風・火山灰を観測
株式会社アクセルスペース(本社:東京都中央区、代表取締役:中村友哉)は、株式会社ウェザーニューズと共同で開発してまいりました気象・海象観測超小型衛星「WNISAT-1R」の打ち上げ日が、2017年7月14日に決定しましたことをご報告いたします。現在、WNISAT-1Rは最終動作確認作業を経て、打ち上げ場所であるカザフスタン・バイコヌール宇宙基地への輸送を完了したところです。
WNISAT-1R 概要
WNISAT-1Rは光学カメラによる気象・海象観測を主な目的とした質量43kgの超小型衛星です。冬場の渤海(中国)・セントローレンス湾(カナダ)や夏季の北極海を通航する船会社に対し最適な航路情報を提供するためには、海氷分布を高頻度に知ることが必要です。これを実現するためには世界中の海氷観測専用の衛星を開発することが最も効果的であると判断されたことから、WNISAT-1Rプロジェクトが計画されました。本衛星は2013年に打ち上げたWNISAT-1で獲得した技術を継承・発展させ、アクセルスペースとウェザーニューズが共同で開発したものです。なお、WNISAT-1Rはメインミッションである各地海氷の光学観測に加え、以下のミッションについても実施します。
・光学カメラによる台風・活動中の火山などの観測。世界のいずれの地点でも撮影が可能です。本衛星の高い姿勢変更能力と高度に自動化された運用システムにより、災害発生時等の緊急撮影要求にも柔軟に対応することができます。
・GPS等の測位衛星から放射される電波(マイクロ波)が地表で反射して戻ってくる波を観測することで地表の状態を推定するGNSS-R (Global Navigation Satellite System – Reflectometry) (注1)ミッション。マイクロ波は雲の影響を受けないため、北極海が雲に覆われている場合であっても海氷分布を推定できる可能性があります。なお本ミッションは実験的なもので、将来に向けた先行実証という位置づけです。
本衛星は2014年に打ち上げられた「ほどよし1号機」の衛星バス技術をベースに開発することで、WNISAT-1を大きく上回る観測性能および衛星の基本性能を達成しながらも開発期間の短縮を実現し、結果としてコストを抑えることに成功しました。
用語解説
(注1) GNSS:Global Navigation Satellite System(全地球型航法衛星システム)の略。
米国により開発・運用されているGPSの他、ロシアのGLONASSや欧州のGalileoなどもGNSSの一種。
(注2) パンクロマティック(Panchromatic)の略で、本衛星では可視波長域全域に感度を持たせたバンドのことを指す。
(注3) 衛星の回転を抑制し姿勢を安定させることを指す。