〜AxelGlobe
5機体制のサービスインに向けた準備が最終段階に〜
株式会社アクセルスペース(本社:東京都中央区、代表取締役:中村友哉)は、構築中の次世代地球観測プラットフォームAxelGlobe向けに開発した超小型光学観測衛星4機(GRUS-1B, 1C, 1D, 1E)を2021年3月22日に打ち上げました。その後順調に軌道上での動作確認を進めておりますが、搭載された撮像システムの正常動作についても確認され、最初の撮影画像(ファーストライト)が得られましたので、本日公開いたします。
ファーストライト
GRUS-1B, 1C, 1D, 1Eのファーストライトは下記の通りです。なお、これらファーストライト画像は、マルチスペクトル画像を公開用にリサンプリング処理を施して作成したものです。また、ジオメトリック補正、ラジオメトリック補正は未適用であり、実際のサービスで提供されるプロダクト画像とは仕様が異なりますのでご注意ください。
図1:GRUS-1Bの撮影画像
撮影場所:スエズ運河(エジプト)
撮影日:2021年4月29日 17:26(日本時間)
図2:GRUS-1Cの撮影画像
撮影場所:カヒティトラン湖(メキシコ、ハリスカ州)
撮影日:2021年4月29日 2:39(日本時間)
図3:GRUS-1D(福井県民衛星「すいせん」)の撮影画像
撮影場所:敦賀湾(日本、福井県)
撮影日:2021年4月26日 10:28(日本時間)
図4:GRUS-1Eの撮影画像
撮影場所:シカゴ・オヘア国際空港(アメリカ合衆国、イリノイ州)
撮影日:2021年5月3日 1:22(日本時間)
2機の衛星による同地点の撮影例
図5, 6に示した2枚の画像はそれぞれGRUS-1D、GRUS-1Bが撮影した同一地点のものです。打ち上げ後、まだ2機の間の距離が短い間に撮影を実行したため、撮影時刻には約6分の差しかありません。
一部を拡大した図7と図8を比較すると、湾内の船の移動から撮影時間差を確認することが可能です。
なお、現在各衛星を軌道上で移動させ、5機を均等に配置するフェージングという作業を行っているため、今後はこのように短い時間差で同一地点が撮影されることはありません。
5機体制のサービスイン
上で述べたフェージング作業が完了次第、2018年12月に打ち上げられ、すでにサービスを提供中のGRUS–1Aと合わせ、5機体制による正式なサービスインを予定しています。5機体制の実現より、日本を含む中緯度域での観測頻度が現在の2週間に一度から2日に一度へと格段に向上するため、これまで以上に幅広い用途への本格活用が可能となります。
AxelGlobe概要
AxelGlobeは、アクセルスペースが構築を進める次世代地球観測プラットフォームです。地球観測を目的とした質量約100kgの超小型光学観測衛星GRUSを多数軌道上に配置し、地球上のあらゆる場所を1日1回という高頻度で観測できるようになることを目指しています。GRUSは従来の地球観測衛星と比較して小型でありながら、高品質な地上分解能2.5m(地上の車を識別できる程度)の光学画像撮影が可能です。世界を毎日撮影していくことにより、膨大なデータが蓄積されていきます。それらをニーズに応じて抽出し、解析することによって、さまざまなビジネスインサイトが得られます。
農業の例で言えば、作物の生育状況の把握や収穫適期の予測などは精密農業としてよく紹介されますが、発展途上国においては収穫量予測データを銀行が農家への融資判断に用いたり、保険会社が不作時の損害額算定に用いたりする新たな利用事例が増えています。
また、SDGsへの社会の関心の高まりやESG投資の進展に伴い、環境・サステナビリティ分野での利用が急速に伸びています。例えば、事業活動の結果、周辺の環境に影響を及ぼしていないことを証明したり、原材料の調達に伴う環境破壊や違法行為がないことを確認したり、植林などのCSR活動の成果をアピールしたりするニーズが出てきています。
こうした新たな利用事例は、今後益々拡大すると考えています。